現代の仏像彫刻の種類
日本の古い時代には、仏教が学問をリードして来たのと 同様に 、 仏像彫刻の技法は、各時代においては先端技術 とも言えるもので、伝統工芸でありながら最先端の技術 の粋を集めて制作されてきています。 また次々と新しい技法が生み出されてきたのです。 歴史上では、塑像、乾漆像、金銅仏、木彫、石仏 等が 多くつくられてきましたが、現代の仏像彫刻は 素材、 技法で大きく分けると、石彫、木彫、鋳造、樹脂の4種 類になります。それそれに常に発展し、多くの技法を含 んでいます。それぞれには魅力と欠点があります。 |
特徴、魅力
|
欠点
|
||
彫
刻 技 法 |
石彫
|
素朴さ、屋外自然に良く合う 石の模様、色の面白さ オリジナルとしての稀少価値(複数制作を除く) |
非常に重い、修正が大変 風化が見られる 細かい表現が難しい 形の自由度が少ない |
木彫
|
木の温もりのある質感、 優しさ、柔らかさ、木目の美しさ 繊維の強さを生かし細かな細工 小作品は丁度良い重さ オリジナルとしての稀少価値(複数制作を除く) |
湿度変化に敏感で割れやひびが入る事がある 材質により、虫やかびに犯される事もある 壊れ易い、燃え易い 同品質での複数制作は難しい |
|
彫
塑 技 法 |
鋳造
(青銅) |
金属の存在感、 青銅の場合は千年の風雪に耐える 硬くこわれにくい 複数制作が容易 |
非常に重い(始めての人には驚きの重さです) 鋳込んでからの修正が大変 |
樹脂
|
可塑性が高く、形の追求に適してる、 形の修正加工が容易、 色も自由自在、軽くあつかい易い、 重量も自在に変えられる。 複数制作が容易 |
量産品に多く用いられ、安物のイメージがある (欠点はイメージだけ??) 実際に安物が多い(嘆かわしい) |
|
その他
|
コンクリート、焼物、等 | ||
*彫塑技法では、まず原形を粘土、石膏、樹脂、その他の
材料で制作され、その後に、最終材料に置き換えられる。 |
●自然材料のもつ質感、味わいを重視すれば、木彫、石彫
●強度、耐用年数の実績 で選べば、鋳造(青銅) ●形を重視して、可塑性、自由度で選べば、樹脂、複合素材 |
彫刻技法(狭義の) | --- 削る、彫る(カービング) |
彫塑技法 (塑像より発展した) |
--- 付ける(モデリング) --- ひねる --- 削る、彫る(カービング) |
彫刻技法は、やり直しが出来ないので、より鋭い感覚が
要求されると言われています。彫塑技法は何度でもやり 直しが出来るので、納得いくまで形を追求できるために 技術より感性の比重が大きくなります。 素人が作る場合、彫刻技法のほうが難しい、とされます が、実際に最後まで作品を完成させるには、逆で、木彫が とっつき易く、彫塑では多くの特種な技法の修得や、用具 が必要になるのでかえって難しいという事があります。 |
|