仏像の彫塑技法について
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仏像彫刻の技法は、現代はで大きく分けて 石彫、木彫、彫塑、その他に分けられます。 |
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形を追求する上で
最も可塑性*1のある彫塑技法*2 |
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木彫や石彫をする人達にも慣れている物を 彫る時は別として、形を追求する時は、まず 粘土で試作されるという方が多くおられます。 製作者にとって形の追求は終わりのない探究 です。制作過程そのものが常に新たなチャレ ンジの連続です。歴史上の仏像彫刻の巨匠と いわれる大仏師運慶でさえ、制作過程で修正 を加えています。一度に仕上げるのがプロの ように思われがちですが、形にこだわれば、 納得いくまで、修正を加えるのが、本当では ないでしょうか、むしろ修正に気付かせない のがプロの技かもしれません。各技法はそれ ぞれに良さがありますが、形の追求の上で制 約がなく制作の自由度、可塑性の最も高いも のは、彫塑と言う事になります。ほとんど無 制限に修正を加え続ける事が出来ます。納得 がいくまで作り込む事が可能になります。 |
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*1)可塑性(かそせい): 形を自由に変える事の出来る性質 *2)彫塑技法(ちょうそぎほう): 主に粘土を材料とし削ったり、付けたり の両方が自由に出来る技法 |
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昔は塑像や乾漆像や金銅仏がつくられまし たが、今は主に粘土で原形が作られ、鋳造で 金属か、樹脂に成型されます。主に青銅、白 銅、りん青銅、金、銀、アルミ、アルミ青銅、 FRP、ウレタン等に置き換えられます。 |
◆大まか
な流れ |
鋳造、と樹脂との違いは、材質 の違いで、大筋はほぼ良く似た 工程で制作されます。 |
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原
形 の 制 作 |
元原形
↓ |
粘土、石膏、木、他、いろいろ な材料を駆使して制作します。 |
雌型
↓ |
石膏、シリコンゴム、FRP、他 |
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成型
↓ |
石膏、FRP、その他 |
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組立
↓ 修正 ↓ 仕上 ↓ |
組み立てて、仕上げます。 | |
完成原形 | ||
完
成 作 品 の 制 作 |
最終型
↓ |
鋳物砂、セラミック、 シリコン、FRP等 再度分割して、 最終型を作ります。 |
成型
↓ |
完成材料と関連して多くの技法 と材質に分かれています。 鋳造も樹脂も多くの成型方法が あります。また、成型の職人は それぞれ材質毎の専門家に分か れているようです |
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修正
↓ |
下記参照 | |
着色
↓ |
幾種類もの材料があり、何工程 かをかけて、重ねて行きます。 |
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彩色
↓ |
伝統技法から現代技法まで多種 類の技法があります。 |
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↓
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最終的な、組み立て、仕上げ | |
完成作品(製品) |
修正作業 は 必ず必要 |
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鋳造にしても、樹脂にしても、完成作品を 複数(ほぼ同じ形)作る事が可能です。量産 すると単価が安くなりますが、質の低下がさ けられません。基本的に型をとる工程上、形 があまくなり、歪みや 崩れ 惚け が必ず生じ ます。現在多くあるどの技法でも起こります。 作者からみれば非常に気になるレベルの物で す。素人がみても見比べればわかります。修 正法も磨けば良いとか、角をとがらせれば良 いのではなく、修正のポイントがあります。 最終工程で作り足したり、作り込む部分もあ ります。作者の意図を生かした修正の仕方、 仕上げ方が大切になってきます。作品を生か すも殺すも、成型後の修正にかかる比重は大 変大きいのです |
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原形 と 完成作品
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一般的には原形は作品のオリジナルとされ ていますが、実は着色もしておらす型取りの ためバラバラになっている事も多く実際見た 目にも 完成作品とは言えないものです。成 型後に修正、着色を加えたものが完成作品と いえます。成型、修正、着色、彩色等の過程 でそれぞれに微妙な違いが生じます。樹脂で も鋳造でも、全ては手作業なので、やり方次 第で出来栄えには大きな差が生じます。 |
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樹脂作品にも大きな品質の差
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樹脂作品の場合、一般には、材料の安さ、 成型、加工、修正の容易さから比較的安価に 出来る為、安価作品を作る目的で作られる場 合が多いのです。でも安さを追求すれば、安 易な修正法だけに止まり とんでもない、質 のわるい作品になってしまします。でも逆に 可塑性を生かして形を追求すれば、どこまで も手間をかける事が出来ます。手間をかけれ ば、鋳造品や木彫を遥かに上回る手間をかけ る事も出来るのです。 |