毘沙門天像(制作過程、粘土原形)
大河ドラマ「義経」の 第三話から数回に登場した仏像
ドラマでは木彫のように見えますが、
彫塑技法で作られた仏像です
その制作過程を特別公開


◆制作過程 その1
彫塑技法の仏像 ----粘土原形
(芯組から小作りまで)
 彫塑技法では、彫塑用の粘土が主な
材料となります。
部品には、木、樹脂、金属等も用いま
すので、それぞれの用具類が必要にな
ります。

 ◆制作の為の用具
  粘土原形の用具、
  木彫の用具、
  樹脂加工の用具、
  石膏の用具、
  金属加工の用具
  着色の用具

 粘土は普通の陶器にも用いられる信
楽の粘土が主原料ですが、彫塑用に改
良剤が添加されてとても扱い易く配合
されています。芯組の材料としては、
シュロ縄、角材、針金等は一般的にも
ちいられますが、現代では発泡スチロ
ール、鉄筋、ステンレス針金、麻紐、
ビニール、ゴムバンド等、多くの材料
を使います。
発砲スチロールの使用は、かえって手
間がかかり経験も必要ですが、軽量化
の為にあえて使用します。


制作台
いろいろな光線で見れるよう、移動可
能なキャスター付制作台を準備する。
制作する像、台座部の寸法等に合わせ
て制作台作る。500kg以上の重量に耐
えるものが必要です。

重量
等身大の普通の人体の場合で粘土重量
が200から300kgになる。今回は倍以
上のかなり太めの体に 大きな台座が
付くので、粘土のみで作ると約700kg
ほどになってしまう。発砲スチロール
を用いて軽量化をはかる。約半分の
350kgを目指す。

芯組
鉄の支柱に、角材と鉄筋を骨材に、番
線とシュロ縄で締めて 芯を組んで行
く。手だけでも数十kgになり、各部数
十kgの粘土がずり落ちないように、重
量と力の働く方向を考え、力の流れを
見極めてしっかり支えられる構造に組
み上げる。完成時に正しい目標の位置
に、手、足、首が来るように、経験と
直感で形を決めて行く。(手は重量で
必ず下がって来る)芯組で失敗すと、
やり直しは とても大変でもあり、ま
た崩壊の危険もあるので失敗のないよ
うに慎重にすすめる。台座込で約2m
ほどの芯組です。


荒付の開始

粘土の荒付けを開始する。付けた
粘土の水分量の変化に応じて、粘
土が締まるように付けて行く
(ほっておくと粘土がひび割れて
くる)締まった粘土はそれ自体が
ある程度の力になります。肘から
先は後で取り外せるような構造に
しておく。


途中は、省略

荒付から徐々に小作りへと移って行きます。



小作り
あらゆる角度、距離、高さから検討を繰り返しつつ、
形を作る。手、足、首、等の位置が良い位置に来る 
ように、何度も確認しながら作り込む。



全体のバランスを見る

鉾は木、光背は樹脂で
別に作り、取り付ける
一通りの部品を揃えて
全体のバランスを見ます。


◆その2へ続く◆


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